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薄暗い部屋に、衣擦れとふたりぶんの吐息、唇を貪り合う潤んだ水音が、溶けて、消えていく。
そっと片方の目を開けると、自分の鼻先に、金髪の美人がいた。
(……あれ?)
シンは、鈍く痛む頭の中で、ぼんやりと考えを巡らせる。
(なんでオレたち、こんなことになっているんだ……?)
全裸で脚を絡め、背中にまわした腕に力を込めてお互いの身体を強く抱く。唇を重ね、アルコールの匂いがする息を吐きながら、柔らかな唇の感触と唾液にまみれた舌を味わう。硬く主張しているお互いのものを擦りつけ合うと、先走った粘液が皮膚の間でぬめり、ふいに訪れる甘い痺れに腰のあたりが引き攣れた。
舌を強く吸われて、シンは眉根を寄せた。軽く首を振り、潤んだ音を立てて唇を離す。目の前に横たわるレイの顔を見ると、目のふちが薄っすらと赤味を帯びていて、奇妙な色気が漂っていた。
「なぜ、こんなことになっている?」
レイは髪をかき上げながら、気だるそうに上体を起こし、問う。
「……それは、こっちが聞きたい」
ひとつ息を吐き、シンは、見たことのない天井を眺めながら、レイの柔らかな感触が生々しく残る濡れた唇を指先で拭った。
「バーで飲んでいて、トイレでキスをしたところまでは覚えている」
レイは、指先で眉間を揉みほぐしながら、低い声を響かせた。
「は?キス?……どっちから?」
「──どちらからともなく」
「どういうこと?」
「目が合って、そのまま……」
「げっ…マジ?」
「それから先……どう盛り上がって、今、この有様なのかは覚えていない」
「そんなに、飲んだか?」
「いや……自覚がない」
「だよなぁ。だって、飲み過ぎたら勃たねえし……。っつーか、男相手に何で勃つんだ」
シンは、ベッドに横たわったまま、腹のあたりまで覆うブランケットをそっと捲り、下のほうを確認して、ぼりぼりと頭を掻く。
「……部下には、見せられない姿だ」
溜息まじりに呟いて、レイは、ベッドの下へ視線を落とす。シンは、ゆっくりと上半身を起こし、ベッドの下を覗き見た。ふたりぶんの白い軍服と下着類が、縺れ合うように落ちている。
「ここ、どこだ?」
シンは、綺麗に片づけられたベッドルームを見渡しながら、ぼんやりとした口調で問うた。
「俺の家、だ」
「へぇ……初めて来たな」
「誰も呼んだことがないからな……。お前、何をじろじろ見ている」
露わになったレイの胸元へ、観察するような視線を送るシンを見て、レイは迷惑そうに眉根を寄せる。
「逞しくなったなあと思ってさ」
「……お前もな」
「ホント、アカデミー時代のモヤシっぷりが、嘘みたいだ。あの時は、どんだけ食っても太れなかったからなぁ」
言いながら、ベッドに左肘をついて横向きに上体を支えたシンは、レイの厚みのある胸板に、空いた右手の掌を這わせた。
「妙な触り方をするな。……まだ、酔っているのか?」
「……たぶん。レイは?」
「お前を相手に理性が飛んでしまいそうだということは、相当、酔っているのだろうな。俺も──」
レイはシンの肩を軽く押し、何の抵抗もなく仰向けに倒れたシンの顔の横に両手を付いて、覆い被さるような体勢で、シンを見下ろした。シンは、レイの小綺麗なつくりの顔をぼんやりと眺め、頬を隠すプラチナブロンドを梳くように撫で上げた。
レイは、邪魔なブランケットを剥ぎ取り、シンの首筋に顔を埋めて、唇で触れる場所を僅かにずらしながら、軽い音を立てて皮膚を吸う。シンは両腕をレイの背中へ回し、彼のしなやかな背中の筋肉をなぞるように撫でた。いつの間にか、お互いに、ひょろりと痩せていた少年の体躯から、大人の男の体つきになっている。シンは、ゆっくりとレイの背中を撫で上げ、彼の柔らかな髪を指に絡ませて、そっと目を閉じた。
(掘られたら、やっぱ、痛いよなぁ……)
シンは、鈍く痛む頭の隅っこでぼんやりと考えて、細く息を吐いた。
ゆっくりと下の方へ移動するレイの唇と舌が鎖骨で止まり、両方の溝を舌先でねっとりとなぞられて、シンは背中を震わせた。
「うぁ…っ」
熱く湿った息が胸元にかかり、突起を口に含まれて、シンは、思わず声を上げた。ざらりとした舌の表で尖端を転がされ、そこを中に広がっていく甘い痺れに耐えかねて逃げようと身を捩ると、胸元で、レイが微かに笑ったような気配がした。右肩を押さえ付けられた上に、レイの腕で腰をがっちりと固められて、身動きをとることができなくなってしまい、シンは狼狽した。
「あ…っ……ちょ、っ…レイ──ん、んっ……んぁ…っ」
レイは、尖端をしつこく舐め回し、強く吸い、時々きつく歯をあてる。噛みつくようなキスを胸元に落とされるたびに、シンの身体が過剰な反応を繰り返す。レイが触れた部分から広がっていく快楽のさざ波は、尾てい骨のあたりをちりちりと焦がし、知らず、シンの両脚を開かせていく。レイの身体は、いつの間にか、シンの両腿の間におさまっていた。
レイは、シンを拘束していた腕の力を緩め、鍛えられた腹の筋に舌を這わせて、臍の形を舌先でなぞる。レイの熱い手が脇腹を撫で、硬く膨らんだシンの中心を軽く掴んだ。指先で、形を確かめるようになぞられて、恥ずかしさに、シンの頬が紅潮する。レイは熱い息を吐きかけて、シンのものの根元を軽く支え、浮き出た血管に沿って舌を這わせた。
「んっ…ぁあっ」
根元付近まで一気に口に含まれて、シンは、背中を反らした。生ぬるい、柔らかな粘膜がシンの膨れ上がったものにねっとりと絡み付く。レイが唇と舌をあてる角度を変えるたびに、いやらしい水の音が、脚の間から洩れ聞こえる。
シンはゆっくりと上体を起こし、レイの顔に掛かる髪をそっと撫で上げ、彼の顔を覗きこんだ。
「す…げ……。そそる」
呟くと、レイは睨むような視線をシンへ向けて、髪を梳き上げている手を払いのけた。前髪が、彼の鼻のあたりまでを覆い隠す。しかし、口元は露わになったままで、シンは、先端を舐め擦る舌と愛おしそうに皮膚の表面を這う唇の動きを、眉根を寄せて眺めていた。レイの、口で愛撫する動きが激しさを増すにつれて、背筋にぴりぴりと痺れが走り、呼吸が荒くなっていく。
「んぅっ……うっ、くぅ…っ…」
奥歯を強く噛み締めても、微かに開いた隙間から声が洩れる。
レイは先端を強く吸い、濡れた音を響かせながら、顔を上下に動かした。唾液にまみれたレイの粘膜とシンの表面が擦れ合い、境界が曖昧になって、彼の中に取り込まれてしまうような感覚に襲われ、シンのなかの何かが、ぷつりと音を立てて切れたような気がした。
「うっ…、……ぁああぁっ…はぁ、っ……レ…イっ……んぁっ」
シンは嬌声を上げ、レイの頭を軽く引き寄せる。下腹を彼の口元に押し付けて、断続的に襲ってくる腰が抜けるような快感を、貪るように味わい尽くした。
「んぁっ……ぁんっ……レ…イ、……イ、くっ…レイっ……レ、イ…」
「──まだだ」
呟いて、レイは、射精するギリギリのタイミングを狙い、張りつめたシンのものからあっさりと口を離した。
「……寸…止め…?──性格、悪ィ……」
シンは途切れ途切れに呟きながら、腹の奥に溜まったままの熱を持て余し、身を捩る。
「性格?今更、何を言っている」
レイは、濡れた口元を手の甲で拭いながら、くくっと喉を鳴らし、膝立ちでベッドサイドまでゆっくりと移動した。ベッドの傍らに配置されていたサイドテーブルの引出しから、細長い瓶と四角い小さな包みを取り出して、包みの方をシンへ投げて渡し、レイは、瓶を軽く振り、中身を攪拌させた。
「それ、何?」
「ローション、だが」
「どうすんだ?」
「後ろを、解す」
「──は?誰の?」
「俺の」
「なんでそんなもの、持ってるんだ?」
「余計な詮索はするな」
冷たい光を放つ青い双眸を向けられて、シンは押し黙る。
「後ろを向いてくれ。……終わったら、お前は、それをつけろ」
「あ?……ああ、わかった」
シンは渡された避妊具の封を切り、壁の方を向いて横たわって、枕に顔を半分埋めた。レイは、シンの背中に胸をあて、片足を持ち上げてシンの腰に絡み付ける。首筋にレイの柔らかな髪が触れて、くすぐったい。背中全体にかかるレイの重みとぬくもりが心地良くて、シンは、肩に乗せられた彼の頭をそっと撫でた。
「……んっ……う……」
背後で、レイが呻き声を上げる。
首の付け根あたりにレイの唇が押し当てられ、熱く湿った吐息がかかり、肌がうっすらと濡れた。
「オレが、やってやろうか?」
レイの呻きを聞きながら、シンはゆっくりと身体を反転させて、レイと向かい合った。
「──は?」
「後学のために……いいだろ?」
「こんなものを学んでも、役には立たん」
「何事も、ケイケン」
シンは、レイの背後に回り込み、彼の腰をそっと持ち上げた。ローションを少量、手に取り、指に馴染ませる。
「どうしたらいい?」
問うと、
「指を入れて、掻き回すように広げてくれ──お前のものが入るくらいに」
枕に顔を埋めたレイは、耳を赤く染めて、ぼそりと答えた。
「やってみる。痛かったら、言えよ」
「……大丈夫だ」
シンは、レイの引き締まったお尻を割り開き、露わになった後ろの腔を、中指の先で撫でた。少しだけ押すと、指の先はほとんど抵抗なく、つぷりと彼の中へ潜っていった。シンは、温かくて柔らかい内壁を擦るように掻き回す。何度か抜き差しを繰り返し、シンは、中指を引き抜いた。続いて、人差し指と中指でレイの入口をなぞり、中へ埋めていく。
「──っ……、…んっ……は、ぁあっ」
レイの背中が震えて、シーツを掴む手に力が籠もる。
「指2本、本当に入るものなんだな」
中をくすぐるように2本の指を動かし、抽送しながら、シンは感慨深そうに呟いた。
「うるさい」
レイの、長い髪の隙間から覗く耳の先が、さらに赤味を増していく。シンは微かに笑い、入口が十分に柔らかくなったのを確認して、レイの中から指を引き抜いた。まだ硬さを保ったままのものにコンドームを装着して、彼の入口に先端を擦りつける。
「入れるよ」
言うと、レイは、枕で顔を隠したまま小刻みに首を縦に振った。
キツイ──シンは眉根を寄せて、慣らすように腰を動かしていく。入口の抵抗を抜けると、奥には柔らかな空間が広がっていて、温かい内壁がシンの熱い塊に柔らかに絡み付いてきた。
「全部、奥まで入った。根元を……すごく、締め付けてくる。いやらしいんだな、レイは……」
「黙れ!──そんなこと、いちいち言わなくても良い!」
珍しく声を荒げたレイを黙らせるために、シンは、強く腰を押し進めた。
「う…、うぁ……はぁ、っ……んう、っ」
レイの背中がしなり、シンに持ち上げられた腰が猥らに揺れる。
「レイ?痛い?」
「……いいや…その、逆だ」
「イイってこと?もっと、動いてもいいか?」
レイは呻き声を噛み殺しながら、小刻みに頷いた。
シンは浅く息を吐き、抜き差しを繰り返す。レイの背中に唇を落としながら、徐々に彼の身体に圧し掛かり、後ろからキスをせがむ。レイは、シンの求めに応じて、上体を捩り、唇を重ねて舌を絡める。シンがゆるやかに腰を進めるたびに、レイの喉が、くぅと小さく鳴いた。
名残惜しい気持ちで唇を離し、シンは腰の動きを止め、レイの背中に圧し掛かるような体勢のまま、彼の長くてスリムな熱の塊を握り、扱く。
「は…っ……シン…なにを……」
「いいから」
シンは彼の耳元で囁き、手の動きを次第に早めていった。
「…はぁっ……あっ…ぅう…んっ」
レイの手に強く握られたシーツの皺が、深く波打つ。彼の背中に預けた胸から、彼の身体の昂ぶりと持て余す熱が伝わってくる。
レイが、悲鳴に似た声を上げた。シンの手の中で、昂ったレイのものが、さらに硬く、大きく膨らんでいく。もう少しだ──シンは、レイの中に沈めていた己のものをそっと抜き、彼の腰がひくついたその瞬間に、熱く昂ったものから手を離した。
「──ッ!」
レイは、マットレスに拳を叩きつける。
「さっきの、仕返し」
シンは笑いながら言い、うっすらと汗ばんだレイの身体を、器用にひっくり返した。両の肩をシーツに押し付け、掌全体を使い、彼の胸から脇腹をゆっくりと撫で下ろす。脚を大きく広げさせて、軽く腰を持ち上げ、シンは、レイの後ろの腔に、再び己のものを埋めた。
シンは、激しく腰を動かしながら、レイの身体を揺さぶる。
「あ……、ふっ…ぁあっ……」
レイの身体が激しく反応を示し、彼の声が、次第に切羽詰まっていく。眉根を寄せ、強く噛み締めた歯が、きりっと鳴った。
今までに身体を重ねたどの女の子よりも、そそられる表情だ。
「レイ……ここ?……ここが、イイのか?」
尋ねながら、シンは、同じ場所をしつこく抉った。
「ふ、ぁっ……ぁあああ…んっ」
「レイ…、もっと、って……言って」
「ぁあっ……も、っと……もっと、強く……」
喘ぎ声を上げながら、レイは、眉間に手の甲を押し当てて、顔を隠すような素振りを見せる。
「感じてる顔を見られるの、恥ずかしいか?」
「……当たり…前だ」
「じゃあ、オレ、目を閉じるからさ……レイの顔、見ないから……思う存分、乱れろよ。カッコ悪いなんて、気にするような仲じゃないだろ」
顔を隠すレイの手をそっと掴んで引き離し、脚を高く上げさせて、少しずつ、圧し掛かるように身体の重さを移していく。 レイの顔の横に手を付き、彼の唇を己のものでそっと包み込み、軽く吸った。 薄く開いた唇の隙間から舌を差し入れると、レイの熱い舌が、待ち構えていたかのように絡み付いてくる。レイの口の中を思うさま味わい、絡めた舌をほどく。お互いの舌先を透明な糸が繋ぎ、シンはそれを、千切れないように丁寧に舌の先で手繰り寄せた。
「やばい…かも、しれない」
シンは、レイの頬を掌で包み、熱い息を吐く。
「……どう…した?」
レイは、シンへ手を伸ばし、髪を掻き回すように撫でた。
「ホレそう」
「馬鹿な、ことを……」
レイは、ふうっと息を吐いて笑う。あまりにも穏やかなその声を聞き、シンは、好きな女の子を想う時と同じような感情が、胸の中にじんわりと広がっていくのを感じていた。
シンは目を閉じて、レイの両脚をさらに大きく開かせる。眉根を寄せ、唇をきつく噛み締めて、激しく抜き差しを繰り返した。
薄い闇の中に、レイの低くて甘い声が溶けていく。
「レイ……オレ、もう、イきそ……」
「俺に……構うな。……んっ…ぁあ、あっ…──い…け」
「……一緒に…」
シンは、薄く目を開けて、シーツを強く掴むレイの手をそっと引き剥がし、はちきれそうなほどに膨らんでいる彼の中心を握らせる。
「オレがイク瞬間……中で、わかるだろ?…合わせてよ。……一緒に…いこう」
言いながら、シンは、レイのお尻をするりと撫でた。
「……わかった」
シンはゆっくりと身体を沈めて、レイの背中とシーツの隙間に両腕を差し込み、彼の身体を強く抱いた。お互いの腹の間で、レイの手が上下に動いているのを感じる。シンの爆発寸前のものを包み込むレイの中の熱い内壁が、射精のタイミングをとらえようと、ゆるりと絡み付いてくる。
シンは大きく息を吐き、目の前に曝け出されたレイの首筋に舌を這わせる。普段、軍服の詰まった襟の下に隠れている首筋に、めちゃくちゃに噛みついてやりたい衝動を抑えきれなくなり、シンは、思いきり歯を立てた。
「──ッ!シン!何を……」
レイの抗議を無視して、シンは、激しく音を立てて首筋に吸い付きながら、時々、強く噛んだ。力を込めすぎて、レイの首の皮膚の下に、みるみる血が溜まっていく。
「うぁっ……はぁっ……、んっ…んうっ……は、ぁあああぁ…っ」
レイの手の動きが早まり、シンの下で激しく身を捩る。彼の中で、シンのものが極限まで硬く、大きく膨れ上がった。
「はっ…ぁああああっ……イ…くっ」
シンのなかの通路を、熱い鉄球のようなものがせり上がってくる。腰がぴくりと震え、シンは、レイと結合した部分に自分の下腹を擦りつけた。
シンとレイは、お互いの身体を強く抱き、ほとんど同時に、白く濁った粘液を吐き出した。
なかのもの全部を出し尽くして、タンクが空っぽになってしまったような感じがする。
レイの首筋に顔を埋めたまま、ようやく呼吸を整えたシンは、レイの背中とシーツの間で押し潰されている腕を抜き、彼の胸の横に手を付いた。上から、眉根を寄せて辛そうに目を閉じるレイの顔をぼんやりと眺める。レイは、青い目を薄っすらと開き、放心した表情で、シンの顔を見上げた。
「シン……そのまま、止まれ」
レイは、掠れた声で言う。
「え?」
レイは、顔を上げたままで素直に動きを止めたシンの顎の先を、中指でそっとなぞる。
「何?」
「俺の出したものが、飛んだ」
レイは苦笑いを浮かべながら、顎に触れた指先をこちらへ向けた。
シンは、レイの指に付着した青い匂いがするそれに舌先を這わせて、丁寧に舐め取った。
「何をやっているんだ……お前は」
「これだけでも、結構、味、わかるんだな」
ふたりは顔を見合わせて笑い、そうすることがまるで当たり前であるかのように、唇を重ね、深く舌を絡めた。
シンは力の抜けた己のものを、レイの中から引き抜く。コンドームを外し、濡れた自分のものと、レイの鍛え上げられた腹に散った欲望の残滓を丁寧に拭い、後始末を終えた。
シンは、ブランケットを肩まで掛けて、壁の方へ身体を向けて寝るレイの背後でゆっくりと上体を起こし、首の付け根までを覆うプラチナブロンドをそっと払いのけて、露わになった首の後ろに唇を這わせた。
「なあ、レイ」
まだ熱の引かない声で、彼の名前を呼ぶ。
「何だ?」
レイは、シンに背中を向けたまま応えた。
「もう一回」
シンは、レイの首筋に散らした、痛々しい色の痣の上にキスをしながら、ねだる。
しばらくの沈黙の後、
「お前が下なら、構わない」
レイは、笑いを滲ませた声で言った。
「え?痛いのは、嫌だ」
「心配するな。ちゃんと解してやる」
「でぇええ!?」
「……冗談だ。別に、俺が下でも構わない──お前に組み敷かれるのは、悪くはなかったからな」
「マジ?」
「……本当だ。だが今は、少し、眠らせてくれ」
「わかった」
シンが返事をすると、レイは大きく息を吐き、身体を弛緩させた。
シンは、静かな寝息を立てるレイの顔を、背後からそっと覗き込む。
唇を薄く開き、起きている時よりも、格段に優しく、幼さの残る表情で眠りにつくレイを見て、シンは口元を歪める。
「やばい、なぁ……ハマるだろ、これは……」
シンは溜息まじりに呟いて、後頭部をぼりぼりと掻いた。
了[2008/3/5]
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