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【たとえば、こんな未来】 酔-3 【3】※R18※【シンレイ】

夢中で唇を貪っていた”大型犬”は、荒い呼吸を噛み殺しながら顔を離し、窓の外を見た。
「……いつ、止んだんだ?」
「ん?」
「……雨」
「さあ。俺が起きた時には、止んでいた」
レイも窓の方へ顔を向け、顔を傾ける。シンは、レイの髪を鼻先で押し分けて、露わになった耳朶に軽く歯を立てた。
「明け方、さ……ちょっと魘されて、泣いてたみたいだったけど……嫌な夢でも、見た?」
彼が声を発するたびに、生温い吐息と柔らかな唇が耳を掠め、首の後ろと二の腕が粟立つ。レイは肩を聳やかし、首の後ろを撫でながら、弱い部分に吐息が掛からないように、僅かに身体をずらした。
「……あの後のことを……少し、な……」
「あの後?」
「酔った勢いでお前とセックスした、日……。朝、お前を見送った後の夢を見ていた」
「あの後、泣いたのか?」
「……少しだけ。失うことを覚悟の上で仕掛けたくせに、朝、酔いが醒めて……何も話せなくなったお前を見送って……お前の気持ちなどお構いなしに突っ走ってしまったことが、本当に申し訳なくて…な」
俯きがちに言うと、シンの大きな手が髪に触れ、頬を撫でる。彼の方へ顔を向けさせようとする手の動きに逆らうことなく、レイは首をひねり、同じ高さにあるシンの目を見つめた。真っすぐな赤い光に射竦められ、胸の奥の方に住み着いている、何か、ひどく凶暴なものがざわめく。
レイは、シンの、少年の頃の丸さがほとんどなくなった頬を指の先でなぞり、触れるだけのキスをした。
「シン……お前は、俺とこうなることに抵抗はなかったのか?」
唇を離し、問うと、
「抵抗?……わからない」
シンは言いながら、首を傾げて、まるで遠い昔のことを思い返しているかのように目を細めた。
「学生の時から、レイに勝てることの方が少なくて、いつも『負けるもんかコンチクショー』って忌々しく思ってたり、嫉妬してたこともあったけど……別に嫌いじゃなかったし……つーか、むしろ好きだった。もちろん、友達としての意味でな。でも、酔った勢いだったけど抱き合って、その後、少しだけ距離と時間を置いてみて、レイのことを考えてるうちに、アタマの中がレイのことで一杯になって……それが、初めて恋をした時の感覚に似てるって思ったんだ。……こんなこと言ったら嫌な顔されそうだけど、吐く息とか…声とか、感じてるカオとかすごくセクシーで……思い出して……一度、夢精したんだよな。すっげー自己嫌悪に陥ったけど……もう一回、レイを抱きたいって思ってる自分がいた。同時に…その…レイになら、抱かれてみるのも悪くはないかもって思った。それで……あれ?オレって、違う意味でレイのこと好きなんじゃねーの?って……気付いた時には、正直、焦った。けれど、ひとつだけ確実に言えることは……レイじゃなかったら、全力で逃げてた」
シンは照れたように笑い、目を伏せる。
「ありがと、な……レイ」
「何のことだ」
「気付かせてくれて。……レイが仕掛けてくれなかったら、こんな幸せ…知らなかった」
「気付かない方が、幸せだったかも知れないのに……か?」
「そんなことない。今が、いいんだ」
語気を強め、上目遣いにこちらを窺うシンを見て、滅茶苦茶に抱き締めてしまいたい衝動をようやく抑え、レイはひとつ息を吐く。
「そうか……良かった……」
レイは微かに笑い、顔に熱が集中していくさまを彼に気取られないように、ふいっと顔を背けた。
「レイ?……耳、すっげぇ真っ赤だぞ」
シンは再び、レイの耳元に顔を寄せ、髪の隙間から覗いている耳の先端を口に含む。声にならない悲鳴を洩らすと、シンは、舌の先でレイの耳の形をなぞりながら、微かに笑った。
シンは、レイのシャツの釦を左手で器用に外し、首筋に顔を埋める。肌を吸われるたびに首の後ろが粟立ち、身体の芯を貫いていく甘い痺れが、腰のあたりをちりちりと焦がす。
今日は少し、おかしい──レイは、昂ぶっていく身体をソファの背凭れに預けて、小刻みに息を吐いた。
「ここでしても……いい?」
レイの胸の尖端を指先で弄びながら、シンは問う。
「断る。……したいのなら…ベッドまで、連れて行け」
「了解」
すげないレイの答えに、シンは吹き出すように笑い、ゆっくりと立ち上がった。
「……待て、シン。何を──」
両膝の裏と脇の下に腕を差し入れられて、レイは身体を強張らせた──その瞬間に、身体がふわりと宙に浮き、レイは反射的に、シンの首に縋り付くように腕を回した。
「腰を…痛めるぞ」
「うん……持ち上げたとき、”みしっ”て鳴った」
シンは呻き声と共に言葉を吐き出した。彼が足を踏み出すたびに、レイの身体が沈む。
「下ろせ」
「やだ」
彼自身と良く似た体格のレイを抱え上げたシンは、ふらふらと蛇行しながら、長い廊下を歩く。
「レイ……ドア、開けて……早く」
寝室の扉の前で立ち止まり、彼は呻いた。膝と脇を支えているシンの腕がぶるぶると震え始め、レイは慌ててドアノブに手を伸ばし、扉を開けた。
「やばい……落とす!落とすッ!」
ずるずると滑り落ちていくレイの身体を、シンは、最後の力を振り絞って抱え上げ、早足でベッドの方へ向かった。
ベッドまで僅か数十センチのところで身体が宙に浮き、硬めのマットレスの上に腰から着地する。どうやら、投げ捨てられてしまったようだ。
「セーフ……」
レイの身体もろとも床に崩れ落ちる事態を免れたシンは、安堵の溜息をついてベッドに座り、腰をさすった。
「冗談のつもりだったんだがな」
「うん、知ってる。でも、一回やってみたかったんだよな…お姫様抱っこ」
着ていたTシャツを脱ぎ捨て、ベッドの上に両手と両膝をついたシンは、目の前に横たわる手負いの草食動物に、どこから喰らい付いてやろうかと舐めるような視線を浴びせながら悠然と近付く肉食獣のような動きで、レイの傍へ進んでいった。
(俺は、草食動物などという可愛らしいものではないがな……)
レイは口の端を上げ、目を細め、下から手を伸ばして、覆い被さってきたシンの頬を撫でる。シンは、レイの手首を掴み、掌にキスをした。掌をぺろりと舐めたシンの舌先が、指の形をなぞり、付け根をくすぐる。
「長いな……」
「何がだ?」
「指」
「そうか?……ぁ…っ」
熱くて柔らかな粘膜で小指を包み込まれ、レイは顔を歪めた。舌の表と裏を使い、片方のすべての指を丁寧に愛撫するシンの顔を呆然と見上げながら、いつもと違う彼の様子に戸惑う。
「……どうした?」
ぽっかりと口を開けたまま顔を凝視しているレイを見下ろして、シンは首を傾げた。
「いつもと……違うぞ……」
「ああ……レイが、さ……いつもこんなふうにネッチョリ触ったり、舐めたりして、結構、気持ちいいから……ちょっと試してみようかなって……オレ、いつも、乱暴だからさ」
「……そうか」
「不満?もしかして、乱暴な方が燃える?」
「そういう訳では……ない…が……。強く噛まれたり、吸われたりするのを覚悟していたから、拍子抜けしただけだ」
「そっか。じゃあ、それ、また今度な」
シンは悪戯っぽく笑い、レイの、はだけたシャツを脱がせてベルトを外す。臍のあたりに鼻先を寄せ、肌に触れるギリギリの距離を保ち、時々、柔らかな唇で肌を撫でながら、焦らすような手付きでジーンズの釦に手を掛けた。熱い吐息が肌を滑り、腰の、深い場所を震わせる。レイは、ジーンズから脚を抜き、ある一点を凝視して口の端を上げているシンの顔を見上げた。
「そんなところを見て、ニヤニヤするな……変態が」
「変態?ひでぇ」
シンは、ははっと声を上げて笑い、すでに硬く反り返っているレイの中心を、下着の布越しにそっと撫でた。
「先走りが、染み出てる。グレーの下着って結構目立つよな」
「……煩い。黙れ」
レイは、シンを睨み、彼に背中を向け、身体の下敷きになっているブランケットを引いて腰から下を隠す。拗ねた子供をあやすような手付きで髪を撫でられて、レイは、ふんと鼻をならし、枕に顔を埋めた。
背後で、ベルトを外す微かな金属音が響き、マットレスを沈ませるシンの重みが足元へ移動していく。レイはブランケットの中で下着を脱ぎ、手の中で丸めたそれを枕の下に押し込んだ。
シンは、レイの腰から下を覆うブランケットを剥ぎ取り、足首を掴み上げた。
「ぁ…っ……」
熱く湿った感触で、足の親指を包みこまれて、レイは声を洩らす。温かなぬめりが足の指から裏を這い、潤んだ音を響かせながら腱を吸われて、皮膚の表面を伝うさざ波が息を震わせた。シンの舌がふくらはぎと太腿を舐め上げ、腿とお尻の境目をくすぐる。レイは枕に顔を埋めたまま、洩れてしまいそうになる声を必死に噛み殺した。
もう片方の足の愛撫からようやく解放され、レイは、限界ギリギリまで膨れ上がった己のものにそっと手を伸ばし、トロトロと溢れ出た粘液を指の先で拭った。
「レイのケツ……可愛い」
お尻の脇の窪みを撫で、小高い部分にキスをしながら、シンは呟く。
「……筋肉質な男のケツが、か?」
「形がエロいんだ。前から可愛いなって思ってたけど……明るいところでみると……何ともいえない色気が──」
言われて初めて、カーテンが全開で、陽光が燦々と降り注いでいることに気が付いた。レイは小さく息を吐いて、首をひねり、日に焼けない体質だと言っていたシンの身体をちらりと見た。色白な肌に薄っすらと落ちる鍛え上げられた証の影が、妙な色香を漂わせている。喰らい付いて、引きちぎってやりたい衝動に駆られ、レイはひっそりと口の端を上げた。普段は、庭で点る常夜灯の淡い光を頼りに肌を重ねていたが、たまにはこういうのも良いかも知れない。
シンの唇と舌が背中の真ん中の窪みを這い上がり、首の付け根に軽く吸い付く。レイは息を震わせながら、肩越しにシンの髪を撫でた。
「レイ……こっち、向いて」
シンは、レイの手首を軽く掴み、耳元で囁く。
シンの求めに応じて、レイは、彼の下で身体の向きを変えた。シンの首に両腕を回し、目を閉じる。柔らかな感触が唇に触れ、首筋を這い、鎖骨の形を辿っていく。熱く湿った手が胸を撫で、その後を追いかけるように肌にかかる吐息に、レイは背中を震わせた。
「ん…っ」
胸の尖端を口に含まれて、思わず、鼻から甘ったるい声が抜けた。声を洩らせば洩らすほどに、愛撫はしつこく、激しくなり、レイは、シンの身体に脚を絡め、甘い痺れが溜まっていく腰を捩る。
「…ぁあっ……」
敏感になっている場所に刺激を受けて、レイは背中を反らし、高い声を上げた。レイの中心を咥えたシンは、根元を扱きながら、口内の柔らかく湿った粘膜と舌を、丁寧に、ものの形に添わせて顔を上下に動かしていく。
「ぁ…っ。……ん…んっ」
シンから与えられる快楽が熱い痺れとなり、腿の内側から足先へ向けて駆け抜ける。レイは、シンの硬めの髪を指で掻き回し、内腿に力を籠めて、彼の身体に添わせた。
シンは、大きく開かせたレイの脚を肩に担ぎ、露わになった後ろの腔に舌を這わせる。
「は…っ。シ、ン……そこは…嫌だ」
レイは大きく首を振り、シンの顔を遠ざけようと足をばたつかせ、腰をくねらせる。
「ゆうべ、ローションを使い切っちゃったから。ちょっとだけ、我慢して」
逃げようとする腰をしっかりと捕まえたシンは、レイの恥ずかしい部分にたっぷりと唾液を擦り付けた。指先で後ろの腔をつつかれて、レイは、きゅっと目を瞑る。彼の指が体内に埋め込まれ、中を探るイメージを思い描いただけで、それ以上の行為をねだるように、入口がひくつく。
「明け方近くまで、お前が中にいたから……大丈夫だ」
掠れた声で言い、抜き差しを繰り返すシンの手にそっと触れて、ゆっくりと体内から彼の指を引き抜いた。
シンの肩に乗せていた足をベッドに下ろし、上体を起こす。正座した状態の彼の足の間に蹲り、僅かに力の抜けかけたシンのものに舌を這わせて、口に含んだ。上顎と舌とでそれを包み、顔を上下に動かすと、シンの欲望が首を擡げ、膨れ上がっていく。
荒い息を吐きながら、シンはお尻をシーツに付けて座り直し、膝を伸ばす。大きな熱い手で髪を梳かれて、上目遣いに彼を見た。シンは、レイの頬を隠す髪を払い退け、首を傾けて顔を覗き込む。彼のものを咥えこんでいる顔を見るのが好きらしい。レイは、シンに悟られないようにひっそりと笑い、熱に熟んだ瞳で彼の顔を見つめる。媚を売るという行為は、正直、好きではない。しかし、そうすることによってシンが昂ぶり、この上ない快楽を得られるのならば、どんなことでもしてやりたいと思う──惚れた弱みというのはこういうことかと、彼と、身体と心を重ねて初めて気が付いた。
根元を固定して、シンに見せつけるように、舌の先で丁寧に彼の形をなぞる。つるりとした先端を舐め擦り、青い匂いがする先走りを絡め取ると、彼は眉根を寄せて呻いた。髪や頬を撫で回されて、猫にでもなったかのような錯覚に陥る。だが、それも悪くはない。
舌の表と裏、口内の粘膜を余すところなく使い、時々強く吸い付いて、シンを追い詰めていく。短く、途切れ途切れだった彼の喘ぎが、しだいに高く、尾を引いたものとなり、彼の腰がびくびくと痙攣する。
「ん、ぁっ……だめ…だ。レイ……口、離して……あっ…んっ」
シンは、両手でレイの頬を包みこみ、荒い息を吐きながら哀願する。レイは、限界近くまで膨れ上がった彼のものに唾液をたっぷりとつけて、潤んだ音と共に口を離した。
濡れた口元を手の甲で拭い、膝立ちでシンの傍へ歩み寄る。彼の肩を支えにして腰を跨ぎ、その行動の真意を量ることが出来ずに、戸惑うように揺れるシンの瞳を真っすぐに見つめて、レイは微かに笑った。
「……レイ?……上?」
シンの問いにレイは小さく頷き、彼のものの根元を支えて先端を入口に擦り付け、下の唇を軽く噛み、慎重に腰を沈めていく。
「……ん…ぅっ」
根元まで咥え込み、慣らすように腰を揺らすと、シンは、レイの肩に額を押し付けて、呻き声を上げた。
「オレ……5往復ぐらいでイきそう……」
「構わない。……二度目に、俺をいかせてくれるのだろう?」
「う……頑張るよ」
シンは顔を上げて、苦笑いした。
シンの首に両腕を絡め、背中を丸めて、息がかかるほど近くに顔を寄せる。
「レイの中、すごく熱い……」
レイの鼻のあたまに鼻先を擦り寄せ、シンは呟く。言葉を発するたびに微かに触れ合う唇の感触が心地良い。
「……本当に、爆発寸前だな」
笑いを滲ませた声で言うと、
「だから、さっき言っただろ?」
シンはレイの頬を撫で、首を伸ばして、唇を押し付けた。重なった唇の隙間から潤んだ響きを洩らしながら、ゆるやかに腰を揺らす。シンのものの根元が更に硬く膨れ上がり、肌の触れ合った部分がしっとりと汗ばむ。
出る──シンは予告通り、5往復目にレイの背中を強く抱き、繋がった場所に下腹を擦り付けて、体内に熱い粘液を放出した。
「ごめ……中で、出した……」
シンは唇を離して、掠れた声で詫びる。
「潤滑油になって、良い」
びくびくと痙攣するシンのものの感触を入口で味わいながら、レイは微かに笑い、呟いた。
「次はレイの番、な」
レイは頷き、体内のものが抜け出てしまわないように、両手を後ろに付いて、慎重に上体を倒し、シーツに背中を預けた。
脚を大きく開き、高く上げて、こちらへ圧し掛かってくるシンの肩に乗せる。手を伸ばして彼の頬を包みこみ、背中を丸め、彼の唇に触れるだけのキスをして、濃い赤色の瞳を真っすぐに見つめた。どうした?と問うように首を傾けるシンに微笑みを返し、顔を小さく横に振る。
シンは肩を聳やかし、レイの腰の横に両手を付いて、レイの中を探るように腰を進めた。結合し、擦れ合う部分から洩れるいやらしい水の音と微かな喘ぎが、ベッドルームに溢れる陽光の粒の隙間を縫って、高く、高く昇っていく。
体内の、弱い場所を擦られて、レイは更に高い声を上げた。シンは、レイの反応を確かめながら、しつこく同じ場所を擦る。レイは、手の甲で口を塞ぎ、顎を上に向けて、逃げるように腰を捩った。
「レイ……声、聞かせて」
足下から聞こえてくる優しい声に従うように、レイは唇に押し当てていた手を離し、シンの腕をぎゅっと掴んだ。
「……あっ……ん…んっ」
普段と違う、明るい光の中で隅々まで見えてしまう気恥ずかしさが、より感度を高め、シンに貫かれている身体の中心に生まれた熱が、凄まじい速さで全身を巡っていく。シンのものの根元をきゅうきゅうと締め付け、背中を逸らして、断続的に与えられる快楽に耐えた。
「レイ。今日は、凄いな……」
シンは顔を歪めて、浅く息を吐く。
「レイの弱いところ、集中的に責めるから。痛くなったら、言って」
シンの言葉に、レイは目を閉じたまま頷いて、彼の腕を掴んでいた手にいっそう力を籠めた。
「──っ」
シンは、レイの膝の裏に手を差し入れて、身体を折り畳むように膝頭を胸元に寄せる。彼の身体の重さが一気に圧し掛かり、レイは息を詰めた。上から叩き付けるように抜き差しされて、後ろの腔から零れ出た体液がお尻の割れ目を伝い落ちていく感覚に、身を震わせる。
弱い部分を擦られるたびに、身体が痙攣したように飛び跳ね、開きっぱなしの口から、誰にも聞かせたことのない甘ったるい声が洩れた。今まで自身を縛り付けてきた、みっともない姿を晒してしまうことへの恐ろしさが、射精するよりも大きな快楽に押し流されていく。
「あっ……ぁあ、っ……んあっ……」
レイは激しく頭を振り、抽迭するシンのものを締め付けて、引き攣れた内腿に力を籠め、爪先をぴんと伸ばす。射精感を伴わない、大きな快楽の波が押し寄せてくる──いく……レイは顎を天井へ向け、悲鳴を上げて、全身を強張らせた。
「レイ?大丈夫か?」
頬を軽く叩かれて、レイは荒い息を吐きながら弱々しく頷く。まだ張りつめている己のものに触れると、欲望を吐き出した形跡はなく、レイは混乱する頭を軽く振り、目を閉じて、まだ醒めない昂ぶりに身をゆだねた。
低く呻き、腰を進める速さを増していくシンの首に両腕を絡め、彼の肩に乗せた脚をベッドに下ろして、汗ばんだ胸と胸を合わせる。シンの顔に頬を擦り寄せ、荒い呼吸を耳元で聞きながら、再び押し寄せてくる快楽の波に攫われて、溺れた。
「ん…ぅっ……ぁあっ……シ、ン」
極限まで反らした背中を抱きしめられ、レイも、シンの背中にしがみつき、彼の腰に強く脚を絡めた。張りつめていたシンのものがびくびくと震えて、レイの中に白く濁った欲望を吐き出す。
「んぁ…っ……シ…ン……熱、い」
シンの背中を強く抱き締めたまま、更なる熱をねだるように、激しく脈動する彼のものの根元を締め付けながら、レイは、昂ぶりが収まらない身体を持て余していた。
ようやく呼吸を整えて、身体を離そうとするシンに両腕と両脚を強く絡みつけて、彼を拘束する。
「……もう一度、出来るか?」
彼の耳元に口を寄せて問うと、
「昨夜から何度も出してて……もう、ムリ…かも」
シンは首を横に振り、掠れた声で呟いた。
「そうか……ならば……少しだけ、お前の身体を貸してくれ……俺の中に入れたままで……」
「何するんだ?」
「このままでは、何度でもお前を求めてしまうから……出す。射精すれば、少しは醒める……だろう……」
「じゃあ、オレが扱いてやるよ。……来て…レイ」
体内に収めたままのシンのものが抜け出てしまわないように、慎重に上体を起こし、再び、彼の腿の上に座る。
シンは、僅かに顔を上げてレイを見つめ、
「レイも、欲しくて堪らなくなること…あるんだな」
頬にかかるレイの髪を梳き上げながら、笑う。
「……当たり前だ」
レイは、熱が集中していく顔を隠すようにシンの頭を抱き、耳の後ろに鼻の先を寄せた。
シンの熱く湿った手が、張りつめたレイのものを絶妙な力の加減で包みこむ。始めはゆるやかに、次第に速く、強く責め立てられて、胡座をかいたシンの脚の上で淫らに腰が揺れる。
「レイ。キス、して」
上下運動を繰り返す手を休めることなく、シンは耳元で囁く。
レイは背中を丸めて、彼の頬に触れ、唇を重ねた。
「んっ……ん……ふ、ぅっ」
腰が抜けるほどの快楽に身を捩り、口内を蹂躙するシンの舌に、己の熱いぬめりを絡める。体内で、シンのものが僅かに硬く膨らんでいくのを感じ、レイは夢中で腰を揺らし、繋がり合った部分を彼の下腹部に擦り付けた。
「……んっ…レイ……アソコ、食いちぎられそ…」
潤んだ響きと共に唇を離し、シンは苦しそうに顔を歪める。
「すまない……弛め…られない。……少し…だけ、堪えてくれ……もう少しで…いく……」
「ん…わかった」
互いの鼻のあたまを擦り寄せて、唾液で濡れた唇に噛み付くようなキスをする。口内の奥深くを探るように、舌を差し入れて、射精寸前のものに与えられる快楽に喉を震わせた。
腹の奥の方から迫り上がってきた熱い粘液が、シンの手を汚す。体内に留めておくことの出来ない灼けた毒を全て吐き出してもなお、下腹の痙攣が止まらない。
ふたり、荒い息を吐きながら、絡めた舌を解く。透明な糸が名残惜しそうに互いの舌先を繋ぎ、ぷつりと切れた。
「すっげ……いっぱい出たな」
シンはからかうように言い、手に付着した欲望の残滓をぺろりと舐めた。
そのさまを見下ろしていた、レイの胸の中に巣食う凶暴な独占欲が首を擡げる。
俺だけのものになれ。俺だけを見ろ。他の誰も、見ないで欲しい──そう、口に出してしまったなら、シンはどんな顔をするだろうか?
シンは指をしゃぶりながら視線を上げて、レイの顔を見た。
「何か…言いたそうなカオしてる」
彼は首を傾げて笑い、よりにもよって、白く濁ったものを付けたままの手で頬を撫でる。
「お前は俺のものだと、言いたかった」
レイはひとつ息を吐き、苦笑いを浮かべて呟く。
「はは……何言ってんだよ、今さら。これから先、ずっと、オレはレイのもので……レイはオレのものだよ……ずっと、ずー…っと」
言いながら、シンは、濡れた手を腿に擦り付け、白いものを拭い去った手でレイの頭を軽く抱き、そっと髪を撫でた。
シンの首筋へ顔を埋めたレイは小さく頷き、彼のうなじから香る、日なたの匂いを胸に満たす。
成長した彼の大きな手はとても優しくて、このまま時間が止まってしまえばいいと願いながら、レイは静かに目を閉じた。




了[2008/09/01]

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